Japanische Klassiker mit Furigana
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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
Lesen Sie 浮かぶ飛行島 (うかぶひこうとう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.009 Zeichen · 249 Bildschirme
川上は部下を励ましたり叱ったりした。これにはさすがの杉田二等水兵も一言もない。
「川上機関大尉。私が悪うございました。これからは体を大切にいたします。そしてどんなことがあっても望を捨てず、ご奉公の折の来るのを待ちます。申しわけありませぬ」
病床から、杉田は川上機関大尉の手をおしいただいた。
「うむ、よくいった。ここは敵地だ。焦るな。体力をやしなえ。そして機会がいたったときは、俺と一しょに死んでくれ」
「はい、――」
「杉田二等水兵。もう長話はできぬが、この飛行島もいよいよ近く動きだすぞ」
「えっ、飛行島がうごきだしますか」
「そうだ。試運転をはじめるようだ。貴様もよく気をくばっておれ、いよいよ手を借りるときは、梨花にたのんでお前に伝えるからな」
「はい、よく分かりました」
このとき梨花が、扉をことことと叩いた。誰か来るとの知らせである。
川上機関大尉は、もう一度病床の杉田の手を握りしめ、
「さあ、誰か来た。気づかれるな。俺の硝子入替えの腕前をそこで見物しとれ」
「上官は硝子の入替えにも御堪能でありますか。私はおどろきました」
「うふ、――」
川上機関大尉は、杉田のそばをはなれるとまた元の中国人の硝子屋にかえって、ぬからぬ顔で壊れた窓硝子のパテをはがしにかかった。