Japanische Klassiker mit Furigana
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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
Lesen Sie 浮かぶ飛行島 (うかぶひこうとう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.009 Zeichen · 249 Bildschirme
少佐の命令で、ボートはすーっとその方へよっていった。そして手練の水兵が棒と綱とでもって、巧みに半裸体の人間を艇内へ拾いあげた。
「あ、日本人らしい。ひどく右腕をやられている」
「おお川上だ。川上だ。川上、長谷部が救いに来たぞ」
長谷部少佐は、救われた人の骨ばった顔を見るや、われを忘れて駈けよった。軍医が、前に出てきて、心臓に耳をあてた。
「どうだ、助けてやれないか」
「ああ指揮官、心臓は微かながらまだ動いています。すぐ注射をしましょう。多分、大丈夫でしょう」
「そうか。では早いとこ、頼む」
長谷部少佐は、友のくぼんだ眼窩のあたりをうるわしげに見つめていた。注射は一本二本三本とつづけられた。
そのとき少佐は、川上機関大尉のくぼんだ眼窩の中に、丸い眼球がかすかにうごくのを見つけて、おどりあがった。
「あっ、生きかえった。おい川上、しっかりしろ。俺だ、俺が分からんか。俺は長谷部だ」
と、川上の手の甲をたたきつつ、声をかぎりに呼べば、
「おお、――」
川上機関大尉は、微かに声を発した。そして光のない眼であたりを見まわしていたが、そのうちに、少佐の手をぐっと握りかえした。