Japanische Klassiker mit Furigana
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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
Lesen Sie 浮かぶ飛行島 (うかぶひこうとう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.009 Zeichen · 249 Bildschirme
長谷部大尉は、また元の梯子をのぼっていった。
昨夜は川上機関大尉のもちこんだ日本酒でひどくいい気持になり、いいたいことをいって寝てしまったが、今朝になると、なんだか昨夜のうちに落し物をしたような気がしてならない。
(はて、何かな?)
と思って考えてみて、やっとのことで思い当った。
(そうだ、川上のやつ、なんだかいやに影が薄かったぞ)
そこで友の身の上を思って、機関部までたずねてきたわけだが、いまも聞けば、彼は旗艦へ行って、司令官のところにいるという。朝から何の用事だか知らないが、元気にやっていればなによりのことだった。
大尉の足は、いつしか甲板へ出ていた。
きょうも熱帯の海は、穏やかに凪いでいる。見渡せば、果しのない碧緑の海であった。そして海ばかりであった。ただ前方二百メートルを距てた向こうに、旗艦須磨が黒煙をはきながら白い水泡をたててゆく。
ぽぽーと、汽艇の響が、右舷の下でする。
舷梯下に、汽艇がついたらしい。
大尉が見ていると、舷門についていた番兵が、さっと捧銃の敬礼をした。誰か下から上ってきたようである。
はたして長身の士官が上ってきた。川上機関大尉であった。