Japanische Klassiker mit Furigana
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ふどうするちか
浮動する地価
黒島 伝治
Lesen Sie 浮動する地価 (ふどうするちか) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.079 Zeichen · 29 Bildschirme
三
そして、半年もすると血を吐いて死んだ。
そのあとから、又、別の娘が咳をしながら帰って来た。そして、又、半年か、一年ぶら/\して死んだ。脚がぶくぶくにはれて、向う脛を指で押すと、ポコンと引っこんで、歩けない娘も帰って来た。病気とならない娘は、なか/\町から帰らなかった。
そして、一年、一年、あとから生長して来る彼女達の妹や従妹は、やはり町をさして出て行った。萎びた梨のように水々しさがなくなったり、脚がはれたりするのを恐れてはいられなかった。
若い男も、ぼつ/\出て行った。金を儲けようとして。華やかな生活をしようとして。
村は、色気も艶気もなくなってしまった。
そして、村で、メリンスの花模様が歩くのは「伊三郎」のトシエか、「徳右衛門」のいしえか、町へ出ずにすむ、田地持ちの娘に相場がきまってしまった。
村は、そういう状態になっていた。
メリヤス工場の職工募集員は、うるさく、若者や娘のある家々を歩きまわっていた。
三
トシエは、家へ来た翌日から悪阻で苦るしんだ。蛙が、夜がな夜ッぴて水田でやかましく鳴き騒いでいた。夏が近づいていた。
黄金色の皮に、青味がさして来るまで樹にならしてある夏蜜柑をトシエは親元からちぎって来た。