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Japanische Klassiker mit Furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme

Aozora Bunko

彼には絶望がなかった。

彼は夜十一時ごろ、ボーレンの表戸をあけた。

おやじは起きていた。そして、彼が上がって行くのをじろりとながめた。三上は、長火鉢の前へ、すわって、煙草に火をつけた。そこは六畳の間であった。すみの方には、船員が二人寝ていた。

おやじはしばらく黙って、これも煙草を吸っていた。

「おやじさん。おらあ今日下船したぜ。また、しばらく頼むよ」三上は切り出した。

「下船した。で、また船に乗る気なのかい」おやじは妙なふうに返事をした。

船乗りが、下船してボーレンに休めば、次の船に乗るまでの間、そこに休んでその間に、口をさがすのが、その唯一の道であった。

「ああ、万寿丸にゃもうあきたからなあ、今度はほんとうの遠洋航路だ」どうも、だが、おやじめ様子が怪しいぞ、今日万寿に行ったんじゃないかな、と思ったが、できるまで空っとぼけた方がいいと思いついた。

「そうか、遠洋航路もいいだろう。だが、遠洋航路は履歴が美しくないといけないな。おまえの手帳をちょっと見せな、預かっとこう」

手練の手裏剣見事に三上の胸元を刺した。

「あ! 船員手帳!」と驚いて三上は膝をたたいた。