Japanische Klassiker mit Furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme
それほどに憤慨しなければならない「理由」を、いまだに「発見ができない」とおもての者たちもいっているのだ。それは多分、「虫の居どころ」が悪かったのだろう。そして、虫の居どころが悪かったために次のような結果になってしまった。
三五
その夜は、船長にとっては、全く不愉快きわまる長い夜であった。その夜は、ボースン一行にとっては、全く愉快きわまる短い一夜であった。そして、おもての者たちにとっては、それは、灰色に塗りつぶされた、懲役囚の一夜のように惰力的な一夜であった。
その夜が明けると、ボースンらは、陸地近くの、日本海特有のまき浪の中から、その伝馬の姿を見せた。浪は、その波のような色と幅を持って、沖の方から陸地の方へ巻きころがして行く反物のように見えた。伝馬は、陸近くでは、よくこの浪に見事にくつがえされるのであった。伝馬は巻き込まれるように見えた。が、すぐにヒョコリと現われた。芥子粒のような伝馬は、だんだん大きくなって来た。
よせばいいのに、ボースン――海軍出のおもしろい男だった――は、伝馬の舳につっ立って、その功を誇りでもするように、ハンケチを振っていた。