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Japanische Klassiker mit Furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme

Aozora Bunko

彼らは、その潮流と、その風とに到底打ち克つことができないということをさとると、ぐっとその能率を引き下げた。そして、流れない程度にだけ押して、再び船首を横には向けなかった。

一切の物がその息を潜め、その目をつぶっている。その時に、その何物も見得ない暗の中で、懸命に波浪と潮流とに対抗することは、その運命を、牢獄内に朽ちしめるように決定された、無期徒刑囚のような神経になりおおせた彼らであっても、なし得ない辛抱であった。

ことにそれは、この闇の中に、ボンヤリすわって時々、「シッカリしないか」とだけ怒鳴る船長の、利己心からのみ起こった一切だ、という感じが、いつのまにか、闇が産みつけでもしたように、二人の胸の中に食い入っていたのであった。

今は、二人の漕ぎ手は、その櫓に対しての意識の集中を断念して、船長と称する不可解な、そのあいまいな、暗黒な形相をしていて、サンパンの中にすわっている、この生物に対して、「なぜおれたちは、こんなに苦しまねばならないのだ」という考えの周囲をさまよい始めたのであった。

それは、だれもみてもいないし、聞いてもいないし、感ずることもできない、全く暗黒な闇の中であった。