Japanische Klassiker mit Furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme
中に、濃い雪雲は、マストに引っかかってそれを抜いてでも行くかのように、はげしくマストを揺すぶった。水平線は、頭上はるかにのぼるかと思うと、足下深く沈んだ。(船の動揺は、同時に水平線を動かすものだ)ボーイ長(水夫見習いをいう)の運命は、全甲板労働者の現在のすぐ背後に鱶のように迫っているのであった。
船尾部分のハッチはこの上もなく厳密に密閉された。そして、次のは、機関室と、その上部にある士官室、サロンデッキとの陰になっていたために、以前の三つに比べて、作業は楽であった。そこで、藤原は、ランプをともす準備をするために、再び「おもて」(船首部分)へ帰って行った。
ランプ部屋へはいる前に、彼はまず水夫室へはいった。まだ十七歳の少年、水夫見習いは、痛さに堪えかねて、「おかあ様、おとうさん」と、両親を叫び求めては、泣いていた。そしては、しばらく息を詰めて、死のような沈黙の中へ落ちて行くのだった。藤原は、ボーイ長の寝床の端板にもたれかかって、ボーイ長の顔をのぞき込んだ。けれども、見えなかった。一つの窓もあけられていない水夫室は、出入り口から星の夜のような光がかろうじてはい込み得ただけであった。