Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいいき

海異記

泉 鏡花

Lesen Sie 海異記 (かいいき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.223 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

――あやかし火が通ったよ。

奴、黙って漕げ、何ともするもんじゃねえッて、此家の兄哥が、いわっしゃるで、どうするもんか。おら屈んでな、密とその火を見てやった。

ぼやりと黄色な、底の方に、うようよと何か動いてけつから。」

「えッ、何さ、何さ、三ちゃん、」と忙しく聞いて、女房は庇の陰。

日向の奴も、暮れかかる秋の日の黄ばんだ中に、薄黒くもなんぬるよ。

「何だかちっとも分らねえが、赤目鰒の腸さ、引ずり出して、たたきつけたような、うようよとしたものよ。

どす赤いんだの、うす蒼いんだの、にちにち舳の板にくッついているようだっけ。

すぽりと離れて、海へ落ちた、ぐるぐると廻っただがな、大のしに颯とのして、一浪で遠くまで持って行った、どこかで魚の目が光るようによ。

おらが肩も軽くなって、船はすらすらと辷り出した。胴の間じゃ寂りして、幽かに鼾も聞えるだ。夜は恐ろしく更けただが、浪も平になっただから、おらも息を吐いたがね。

えてものめ、何が息を吐かせべい。

アホイ、アホイ、とおらが耳の傍でまた呼ばる。

黙って漕げ、といわっしゃるで、おらは、スウとも泣かねえだが、腹の中で懸声さするかと思っただよ。