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Japanische Klassiker mit Furigana

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かいじんべっそう

海神別荘

泉 鏡花

Lesen Sie 海神別荘 (かいじんべっそう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.689 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

一度、この国へ受取りますと、ここには風が吹きません。ただ花の香の、ほんのりと通うばかりでございます。紙の細工も珠に替って、葉の青いのは、翡翠の琅、花片の紅白は、真玉、白珠、紅宝玉。燃ゆる灯も、またたきながら消えない星でございます。御覧遊ばせ、貴女。お召ものが濡れましたか。お髪も乱れはしますまい。何で、お身体が倒でございましょう。

美女 最後に一目、故郷の浦の近い峰に、月を見たと思いました。それぎり、底へ引くように船が沈んで、私は波に落ちたのです。ただ幻に、その燈籠の様な蒼い影を見て、胸を離れて遠くへ行く、自分の身の魂か、導く鬼火かと思いましたが、ふと見ますと、前途にも、あれあれ、遥の下と思う処に、月が一輪、おなじ光で見えますもの。

女房 ああ、(望む)あの光は。いえ。月影ではございません。

美女 でも、貴方、雲が見えます、雪のような、空が見えます、瑠璃色の。そして、真白な絹糸のような光が射します。

女房 その雲は波、空は水。一輪の月と見えますのは、これから貴女がお出遊ばす、海の御殿でございます。あれへ、お迎え申すのです。

美女 そして。参って、私の身体は、どうなるのでございましょうねえ。