Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじんべっそう
海神別荘
泉 鏡花
Lesen Sie 海神別荘 (かいじんべっそう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.689 Zeichen · 46 Bildschirme
椅子に凭る。――その足許に、美女倒れ伏す――疾く既に帰り来れる趣。髪すべて乱れ、袂裂け帯崩る。
公子 (玉盞を含みつつ悠然として)故郷はどうでした。……どうした、私が云った通だろう。貴女の父の少い妾は、貴女のその恐しい蛇の姿を見て気絶した。貴女の父は、下男とともに、鉄砲をもってその蛇を狙ったではありませんか。渠等は第一、私を見てさえ蛇体だと思う。人間の目はそういうものだ。そんな処に用はあるまい。泣いていては不可ん。
美女悲泣す。
不可ん、おい、泣くのは不可ん。(眉を顰む。)
女房 (背を擦る)若様は、歎悲むのがお嫌です。御性急でいらっしゃいますから、御機嫌に障ると悪い。ここは、楽しむ処、歌う処、舞う処、喜び、遊ぶ処ですよ。
美女 ええ、貴女方は楽いでしょう、嬉しいでしょう、お舞いなさい、お唄いなさい、私、私は泣死に死ぬんです。
公子 死ぬまで泣かれて堪るものか。あんな故郷に何の未練がある。さあ、機嫌を直せ。ここには悲哀のあることを許さんぞ。
美女 お許しなくば、どうなりと。ええ、故郷の事も、私の身体も、皆、貴方の魔法です。
公子 どこまで疑う。(忿怒の形相)お前を蛇体と思うのは、人間の目だと云うに。