Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かいなんき
海難記
久生 十蘭
Lesen Sie 海難記 (かいなんき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.628 Zeichen · 56 Bildschirme
ショオマレェの端艇が最後の曳綱を切ったとき、筏の上の百四十五名の人員は、誰一人公然たる棄却が行なわれようとしているとは考えず、六隻の舟艇がつぎつぎに帆をあげて東方に遠ざかって行くのを、なんの気もなくぼんやりと見すごしていた。益のない作業をつづけるより、僚艦を探して救助を求めるほうがいいことはわかっているので、ショオマレェが新たな措置をとりだしたことを喜んでいるものさえあった。舟艇の姿は次第に小さくなり、やがて水平線の下に沈んでしまった。五浬ほどのところに、ラ・メデュウズが白い波頭に巻かれながら寂然としずまっているのが見えた。
筏の上は平和なようすをしていた。いずれ助けにくるにきまっている。近くの海岸に舟艇の乗員を揚げたら、すぐ収容にやってくるのだろう。こうして何時間か凌いでいればいいのだと考えていた。それにしても、いくらかでも海岸に近いほうへ筏を持って行こうというので、いろいろやりだした。檣を立てて帆を張ると、いくらかは動くようになったが、厖大な図体をしているところへ舵もないので、反対のほうへ寄って行っても引返させることができない。ちょうど都合のいい風でも吹きださぬかぎり、自力で陸岸に近づくことは不可能だということがわかった。