Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのきゃく
深夜の客
大倉 燁子
Lesen Sie 深夜の客 (しんやのきゃく) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.926 Zeichen · 28 Bildschirme
少時、間を置いて、また、
「なアに、愚図々々云ったら、――俺がやッつけッちまう」底力の籠った云い方をした。
それぎり途絶えてしまった。
ところが湯ヶ原を通過すると間もなくだった。突然、「さア行こう」と同じ声がした、と思うと非常ベルが鳴り、列車は俄かに速度を緩め、停車しようとした。洋子はぼんやりと眼を開けていた。その時、突如出入口のドアを開け、身を跳らせて飛び降りた二つの影を見た。一人は背の高い、がっちりした体格の鳥打帽の男、もう一人は小柄で細そりとした色白の細面だった。
やがて、汽車はレールの上を引きずられるような重い音を立てて停った。乗客は総立ちとなり、車内は騒然とした。真暗な外を透し、事故を知ろうとする顔が、窓に重っている。が、別に何事もなかったものと見え、車はまた静かに進行を続け始めた。
「どうしたんだ? 何があったんだ?」
「轢かれたのか?」
通りかかった車掌を捕えて、乗客は詰問するような語調で言った。
「何んでもなかったんです。誰か悪戯した人があるんでしょう。――非常ベルを鳴らしたりするもんだから、すっかり脅かされてしまいました」と苦笑した。