Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅうかんそうわ
清修館挿話
林 芙美子
Lesen Sie 清修館挿話 (せいしゅうかんそうわ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.062 Zeichen · 20 Bildschirme
谷村さんは、今朝、太つちよの女の髪の毛を一本抜いて、のつぴきならなかつたあの気持を思い出して、また憂欝になりましたが、此の髪の毛を取つて、顕微鏡でしらべたならば、あの太つちよの下女に、しかと訓戒を与える事も出来るであろうと、三の字にくつゝいていた、その髪の毛を摘んで、中へはいりました。
「お帰んなさいまし」
又、太つちよの下女です。
下女は朝と違つて、大変さつぱりと髪を結つて、豚のように太つた襟筋に、うつすりと白粉をはいて、衿にレースのついた白いかつぽう着を着ていました。
「お部屋へじきに御飯持つて参りましようかね」
谷村さんは、夕飯を持つて来るまでに調べておきたかつたので、気むずかしく声を荒げて云いました。
「僕アおなかいつぱいだ、もう一時間位してからにして下さい」
太つちよの女中は、谷村さんを見ても、朝のようにキッキッと笑いませんで、淋しそうに大きい溜息をついて、手紙箱の方をしらべに立つて行きました。二階から空のお膳を持つて降りて来たスガメの下女が、谷村さんを見て、くすりツと盗み笑いをして台所へ行きます。
谷村さんは、大変眼が近いので、スガメの下女の盗み笑いを見逃して、郊外から持ち越しのスリッパをペタンペタンはいて、洗面所の方へ手を洗いに行きました。