Japanische Klassiker mit Furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lesen Sie 清貧の書 (せいひんのしょ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.061 Zeichen · 36 Bildschirme
「済みませんねえ。疲れていなかったら台所へ棚を一ツ吊して下さい」
「棚なんか明日にして飯にでもしないか」
「ええだけど何も棚らしいものがないから、どうにも取りつき場がないわ」
「眼が舞いそうだ。飯にしよう」
与一が後ろ鉢巻きを取りながら、台所へ炭箱を提げて来た。
鮭が二切れで米が無い。
それで、与一が隣りの部屋に去ると、私は暗がりの中に、割りそこなった鯉の地獄壺を尻尾の方から石でもってコツンコツンと割ってみた。
脆い土屑がボロボロ前掛けの上に壊れて、膝の上に溢れた銅貨は、かなりズシリと重みがあった。どれを見ても銅貨のようだ。私は一ツ一ツ五拾銭銀貨が一枚ぐらい混ざっていはしないかと、膝の上にこぼれた銭の縁を指で引掻いて見た。
銅貨がちょうど二十枚で、拾銭の穴明き銭と五拾銭銀貨が一枚ずつ、私の胸はしばらくは子供のように動悸が激しかった。
抜き替えたこの一銭銅貨がみんな五拾銭銀貨であったならば、拾円以上にもなっているであろう――私は笊を持つと、暗がりの多い町へ出て行った。
軒の低い町並みではあるけれど、割合と色々な商い店が揃っていて、荷箱のように小さい、鳩と云う酒場などは、銀座を唄ったレコードなんかを掛けていたりした。