Japanische Klassiker mit Furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Lesen Sie 清貧の書 (せいひんのしょ) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.061 Zeichen · 36 Bildschirme
出発の日の与一の侘しい姿を思うと、胸の中が焼けるように痛かった。
第四番目の手紙は、どうも俺は、始終お前に手紙を書いているようだ。お前は甘い奴と思うかも知れない。――遠く離れて食べる事に困らないと、君がどんな風に食べているンだろうと云う事が案ぜられるのだ。まだ一度も君から手紙を貰っていない。君もこれから生活にチツジョを立てて、本当に落ちついたらいいだろう。落ちつくと云う事は、ブルジョアの細君の真似をしろと云うのではない。俺と君の生活に処する力を貯える事さ。金のある奴達は酒保へ行く。無いものは班にいて、淋しくなると出鱈目に唄をうたう。唄をうたう奴達は、収穫を前にして焦々しているのだろう。俺の隣りのベッドに舶大工がいる、子供三人に女房を置いて来たと云って、一週間目に貰った壱円足らずの金を送ってやっていた。そんなものもあるのだ。マア元気でやってくれるように、小鳥が飼ってあるとか、花でも植えてあるならその後成長はどんな風かとでも聞けるが、そこには君自身の外に、何も無いンだからね。――元気で頼む」
かつて知らなかった男の杳々とした思いが、どんなに私を涙っぽく愛しくした事であろう。