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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼうふううにおわったいちにち

清風荘事件 他8編

松本 泰

Lesen Sie 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.532 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

午前二時、家じゅうが寝静まったとき、みのりはそっと寝床から辷り出た。

彼女は窓の前の障子の面を細い指で撫でた。そこには昼間波瑠子が書いていった次のような点字があった。

みのりは指先でその通信を消してしまったのち部屋を出て、階段を上りはじめた。彼女は一歩ごとに注意深く辺りの音に耳を澄ました。家の中は依然としてひっそりしている。遠くに自動車の警笛が聞こえる。

みのりは壁から壁を伝って、表階段の正面にある青銅のビーナスの前に近づいた。その時、街灯の射し込む薄明かりの中に黒い人影があったことには、敏感な彼女も気づかなかった。

四階の部屋に寝ていた信子は、どこかで人の呼ぶような声を聞いて目を覚ました。それは確かに店のほうであった。

「ちょっと、ちょっと、起きてちょうだい! 下で何か変な音がしたわ」

彼女は隣のかおるを揺り起こした。

「あなた、酔っ払っていたから夢でも見たんじゃあない?」

「いいえ、確かに女の声がしたわよ」

「波瑠子さんじゃあないかしら」

その時、階下の廊下をがたがた走っていく靴音が聞こえた。

信子は素早く電灯を点け、かおると二人で廊下へ出ようとすると、蒲団を被って慄えていた蔦江は一人部屋に残されるのが恐ろしさに、歯を鳴らしながらその後に続いた。