Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼうふううにおわったいちにち
清風荘事件 他8編
松本 泰
Lesen Sie 清風荘事件 他8編 (ぼうふううにおわったいちにち) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.532 Zeichen · 43 Bildschirme
曲がりくねった小径について雑木林の丘を越えると、豁然と展けた眼下の谷に思いがけない人家があって、テニスコートにでもしたいような広場に鰯を干しているのが見えた。
次の丘を回ったときには、はるか下の赤土の傾斜地に、桃色の鉢巻きをした漁師たちが蟻のように並んで網を繕っているのが見えた。
伊東はみちみち、菜の花や水仙などを摘んで丘の裾を繞りながら、遠くに部原の海を見下ろす崖の上へ出た。白っぽい県道が緑の間を抜けて、木橋の上へ出る。ちょうどその下が鉄道線路になって、十数間先に第二のトンネルがあった。と見ると、トンネルの入口に筵が敷いてあって、数人の男がその傍に立っている。
「轢死人だな」
伊東はすぐ行ってみる気になった。もっともそれは帰り道だったせいもあろうが、彼は道のない枯草を分けて、遮二無二に橋の上へ辷り下りた。
ちょうどそこへ自動車が停まって、慌ただしく二人の男女が降りてきた。
「あら、旦那さまですの、大変なことができましたんですよ」
と、女が言った。
「大変って、あれですか?」
伊東は下のトンネルの入口を指した。
「ああ、あれですの? いやになってしまいますね。