Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶおんせんのあき
渋温泉の秋
小川 未明
Lesen Sie 渋温泉の秋 (しぶおんせんのあき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.635 Zeichen · 6 Bildschirme
稀に、明日帰るというような人が、木地細工の店に入っているのを見るばかりであるが、果物店には、いかなる日でも人の入っていないことはなかった。別に、眼を娯しますものもないから、欄に倚りかゝって、前の二階の客が煙草を喫ったり、話しをしていたり、やはり、つくねんとして此方を見ているのを見る他、眼をどうしても、此の二軒の店に落さずにはいられなかった。そのたびに、果物店には、赤い帯が見えて、娘が葡萄や、林檎を買っていたり、また絵はがきを選んでいるのを見て、よくはやる家だと思わぬことはなかった。
四日目である。
真昼の空はからりと晴れて、曇がなかった。日は紅く、河原や、温泉場を照らして山の木々の葉は、ひら/\と笑っていた。此の日、此の村の天川神社の祭礼で、小さな御輿が廻った。笛の音が冴えて、太鼓の音が聞えた。此方の三階から、遠く、溪の川原を越えて彼方の峠の上の村へと歩いて行く御輿の一列が見られた。――赤い日傘――白い旗――黒い人の一列――山間の村でこういう景色を見ることは、さながら印象主義の画を見るような、明るいうちに哀愁が感じられた。
夕暮方、温泉場の町を歩いていると、夫婦連の西洋人を見た。