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Japanische Klassiker mit Furigana

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たにさんだい

渓三題

木暮 理太郎

Lesen Sie 渓三題 (たにさんだい) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.066 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

下から見上げても上から覗き込んでも、深い森林と水烟に遮られて、全部を一目に見渡すことは出来ない。唯岩壁に反響する水音許りだ。

東沢には法螺の貝の奇峡がある。ここでは花崗岩の一枚岩が七、八町の間、雨樋のように深く抉られて、幅は二間ともあるまい。水は其中を奔馳して、最後に洞穴の中へ吸われるように消えてしまうのが上から覗かれる。下へ廻って見るとそこに大きな淵が現われ、其上には岩の円天井が蓋のように掩いかぶさり、一方だけが欠けて下流に面している。奥からは鞳の響と共に白い水沫の飛ぶのがちらちらと目に入る。天井には孔があって、それからさし込む光線に瀞の水色が反映して、洞の中は水も空気も物凄い濃藍色に輝いている、驚く可き自然の技巧!

この法螺の貝から上流になると、両岸の岩壁は反て高くなる程であるが、何等の危険も困難もなく、或は滝を賞し或は淵を眺め、行く行く壮麗な景色に眼を娯ませながら、河の中を右に左に徒渉して、薬研のような谷底を甲武信岳の直下まで遡り得るのは、この種類の峡谷としては、恐らく東沢にのみ見られる特色であろう。(大正一三、八『中学生』)