Japanische Klassiker mit Furigana
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みなとについたくろんぼ
港に着いた黒んぼ
小川 未明
Lesen Sie 港に着いた黒んぼ (みなとについたくろんぼ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 6.903 Zeichen · 14 Bildschirme
朝日が上ると二人は、天気の日には、欠かさずに、ここへやってきました。姉は、盲目の弟の手を引いてきました。そして、終日、そこで笛を吹き、唄をうたって、日が暮れるころになると、どこへか、二人は帰ってゆきました。
日が輝いて、暖かな風が、柔らかな草の上を渡るときは、笛の音と唄の声は、もつれあって、明るい南の海の方に流れてゆきました。
姉は、毎日のように、こうして踊ったり、唄をうたったりしましたけれど、弟の笛の音を聞くと、いつも、疲れるということをすこしも身に覚えませんでした。
元来内気なこの娘は、人々がまわりにたくさん集まって、みんなが目を自分の上に向けていると思うと恥ずかしくて、しぜん唄の声も滅入るように低くはなりましたけれど、そのとき、弟の吹く笛の音に耳を傾けると、もう、自分は、広い、広い、花の咲き乱れた野原の中で、独り自由に駆けているような心地がして、大胆に、身をこちょうのように軽く跳ね上げて、おもしろく踊っているのでした。
ある夏の日のことでありました。その日も太陽は、早くから上がって、みつばちは花を探ねて歩き、広場のかなたにそびえる木立は、しょんぼりと静かに、ちょうど脊の高い人が立っているように、うるんだ空の下に浮き上がって見えました。