Japanische Klassiker mit Furigana
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こはん
湖畔
久生 十蘭
Lesen Sie 湖畔 (こはん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.180 Zeichen · 47 Bildschirme
に人がきたような気配がした。
顔をあげてみると、箱根笹の繁った松の下闇に陶がションボリと立っている。
「おい」
と声をかけると、陶は張り裂けるほど眼を見ひらいて、だまって俺の顔を瞶めている。
卒倒する前によくこんな眼つきをする。失神して倒れている奴は殺しにくかろうと思ったので、倒れられぬ用心に、
「陶、こッちへ来い」
と怒鳴ると、陶は蹌踉くように座敷へ上ってきて、畳に両手をついて頭をさげた。
「よく戻ってきた、戻るには戻るだけの覚悟をして来たのだろうナ」
と言うと、陶は貴様の寝て居る子供部屋の方へチラと眼を走らせてから、顔を伏せて微かに頷いた。
浮ヶ島の高木の家に着く頃、白々と夜が明けかけ、露で膝まで濡れあがって、その辺が痺れるようだッた。玄関の呼鈴を押したが、誰も起きて来ない。庭から縁側へ廻って、下駄で力任せに雨戸を叩くと、
「誰だッ」
と癇癪を起したような声がし、雨戸を開けて高木が顔を出したが、俺の恰好が凄かッたのか、アッと言って部屋の中へ駆け込みそうにした。
座敷へ上がって胡坐をかくと、高木は顔を引攣らせて畏まり、しきりに上眼づかいをしている。
俺はいきなりに、