Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはん

湖畔

久生 十蘭

Lesen Sie 湖畔 (こはん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.180 Zeichen · 47 Bildschirme

Aozora Bunko

て、なンともはや、お傷しいお姿で、それでみなでお運び申しあげ、只今、控の間へ」

「誰に断って、死骸なンぞ持ち込む。あまり勝手な真似をするな」

「では、岸へ放り投げて置けとでも仰言せられるのですか」

と、犬が怒ったような眼付で俺を見あげた。

「控えろ。湖水に身投げする奴は、年に一人や二人ではあるまい。もう半年も経っておるのに、どうして奥だと言う判定がつくのだ。彼処へ行って、皆にうろたえるなと言え」

「御言葉を返して、失礼では御座りまするが、誰が見ても、紛れのないことで」

と言って動かぬ。

心中に惹起された感情を、なんと名づけていいかわからぬ。真実のところ、俺は陶を殺してはいない。あの時、俺の決心は少しも鈍っていなかッた。俺は陶の胸上に馬乗りになり、少しずつ力を増しながら首を締めあげて行った。なぜ殺せなかッたと言えば、首を締めたこと、俺の手が陶の肉体に触ったことがいけなかったのだ。拙かった。陶は足の指を蟹のように折曲げ、薄眼の中で眸を寄せ、俺にしっかりと抱きつきながら口を開いてア、アと喘ぎ出した。顔には湯上りのような血の色が差し、髪の生際が艶めかしくシットリと汗ばんでいる。