Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆしまのけいだい
湯島の境内
泉 鏡花
Lesen Sie 湯島の境内 (ゆしまのけいだい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.674 Zeichen · 18 Bildschirme
少し考えた事もあるし、当分引込んでいようと思う。
お蔦 遠いわねえ。静岡ッて箱根のもッと先ですか。貴方がここに待っていて、石段を下りたばかりでさえ、気が急いてならなかったに、またいつ、お目にかかれるやら。(と膝にうつむく。)
早瀬 お蔦、お前は、それだから案じられる。忘れても一人でなんぞ、江戸の土を離れるな。静岡は箱根より遠いかは心細い。……ああ、親はなし、兄弟はなし、伯父叔母というものもなし、俺ばっかりをたよりにしたのに、せめて、従兄妹が一人ありゃ、俺は、こんな思いはしやしない!……よう、お蔦、そしてお前は当分どうするつもりだ。
お蔦 (顔を上ぐ)貴方こそ、水がわり、たべものに気をつけて下さいよ。私の事はそんなに案じないが可うござんす。小児の時から髪を結うのが好きで、商売をやめてから、御存じの通り、銀杏返しなら人の手はかりませんし、お源の島田の真似もします。慰みに、お酌さんの桃割なんか、お世辞にも誉められました。めの字のかみさんが幸い髪結をしていますから、八丁堀へ世話になって、梳手に使ってもらいますわ。
早瀬 すき手にかい。
お蔦 ええ、修業をして。……貴方よりさきへ死ぬまで、人さんの髪を結ましょう。