Japanische Klassiker mit Furigana
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まんかんところどころ
満韓ところどころ
Lesen Sie 満韓ところどころ (まんかんところどころ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.601 Zeichen · 148 Bildschirme
余は冗談じゃないぜと云った。橋本は面白がって笑っていた。それだから、また博士にならない。
四十二
ここだと云うので、降りたには降りたが、夜の事だから方角も見当もまるで分らない。頼りに思う停車場は縁日の夜店ほどに小さいものであった。その軒を離れるとなおさら淋しい。空には星があるが、高い所に己と光るのみで、足元の景気にはならなかった。汽車路を通って行くと、鉄軌の色が前後五六尺ばかり、提灯の灯に照らされて、露のごとく映ってはまた消えて行く。そのほかに何も見えなかった。やがて右へ切れて堤のようなものをだらだらと下りる心持がしたが、それも六七歩を超えると、靴を置く土の感じが不断に戻ったので、また平地へ出たなと気がついた。すると虫の音が聞えだした。足元で少しばかり鳴いてるような家庭的なものではない。虫の音だと云う分別が出た時には、その声がもう左右前後に遠く続いていた。我々は一つの提灯を先にして、平原にはびこる無尽蔵の虫の音に包まれながら歩いた。
今考えると、なかなか風流である。筆を執って書いていても、魏叔子の大鉄椎の伝にある曠野の景色が眼の前に浮んでくる。