Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
まんかんところどころ
満韓ところどころ
Lesen Sie 満韓ところどころ (まんかんところどころ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.601 Zeichen · 148 Bildschirme
現に北陵から帰りがけに、宿近く乗りつけると、左り側に人が黒山のようにたかっている。その辺は支那の豆腐やら、肉饅頭やら、豆素麺などを売る汚ない店の隙間なく並んでいる所であったが、黒い頭の塊まった下を覗くと、六十ばかりの爺さんが大地に腰を据えて、両脛を折ったなり前の方へ出していた。その右の膝と足の甲の間を二寸ほど、強い力で刳り抜いたように、脛の肉が骨の上を滑って、下の方まで行って、いっしょに縮れ上っている。まるで柘榴を潰して叩きつけた風に見えた。こう云う光景には慣れているべきはずの案内も、少し寒くなったと見えて、すぐに馬車を留めて、支那語で何か尋ね出した。余も分らないながら耳を立てて、何だ何だと繰返して聞いた。不思議な事に、黒くなって集った支那人はいずれも口も利かずに老人の創を眺めている。動きもしないから至って静かなものである。なお感じたのは、地面の上に手を後へ突いて、創口をみんなの前に曝している老人の顔に、何らの表情もない事であった。痛みも刻まれていない。苦しみも現れていない。と云って、別に平然ともしていない。気がついたのは、ただその眼である。老人は曇よりと地面の上を見ていた。