Japanische Klassiker mit Furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lesen Sie 滝口 (たきぐち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.815 Zeichen · 99 Bildschirme
あらしいませんと云い、おわきは二つの徳利を盆にのせて、立っていった。
おりうには御家人くずれの浪人者が付いている。遠い江戸からこの山ぐにまで、はるばるおりうを追って来た。おりうのほうでも、嫌っているようなそぶりをしながら、心の中ではその浪人者が好きらしい。そういうわけなので、もし間違いがあるといけないから、あまりおりうちゃんを近よせないほうがいい、というのがおわきの話の要点であった。
「こんな噂が弘まってるんだな」と独りになって益村は呟いた、「――たぶん畠中もこういう噂を聞いたんだろう、これが初めてではないんだがな」
おりうがこのうちへ来て十カ月、それとなく益村に耳うちをした女中が、おわきのほかに二人いた。おりうさんてこわいような人だ、かげに男があっておりうさんを見張っている、「わるくすると闇討ちにあいますよ」と云った女中さえあった。
「岡野さえのときと同じだ」そう呟いた益村は、苦しげに顔をしかめ、眼をつむって、うなだれた、「――さえのときもこんなことが重なって、それであんなひどいことをしてしまった」
酒を持って来たのはおりうであった。彼女は浴衣にひっかけ帯で、洗い髪を手拭で巻いたままであった。