Japanische Klassiker mit Furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lesen Sie 滝口 (たきぐち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.815 Zeichen · 99 Bildschirme
三
益村はその肩を抱いた。
「痩せているんだな」彼は抱いている手でおりうをそっと揺すった、「折れてしまいそうじゃないか」
急にばねでもかかったような動作で、おりうは益村にしがみついた。庭でないていたこおろぎの音が止まった。
三
――若旦那さま、あのさえという娘にはお気をつけなさいまし、との方なら誰とでもつきあうんです、と下女のとみが云った。
――岡野の娘はたいへんな子ですわ、昨日も裏庭の塀の外で、組長屋の誰かと抱きあっていましたわ、わたくしうっかり外へ出て、吃驚して息が止まりそうになりました、と隠居所の女中のぬいが告げた。
それだけではない、似たような告げ口を幾たびとなく聞き、安宅はすっかり興冷めた気分になった。彼はさえを妻にしたいと思った。留守役というむつかしい勤めには、さえのように気の勝った、芯の強い女でなければならない。少年のひとかど悟ったような思案でそう考えたが、じつは文句なしに好きだったのだ。さえが本当に気の勝った、芯の強い娘だったかどうかはわからない。そうでなくっても好きなことに変りはなかったであろう、この藩では重職に準ずる益村の家で、足軽組頭の娘を嫁にとるというには多くの困難があった。