Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
たきぐち
滝口
山本 周五郎
Lesen Sie 滝口 (たきぐち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 49.815 Zeichen · 99 Bildschirme
――そのときは相談に来ると云ったのは、かねてから考えていたのではなく、ふと思いついて口から出たものであった。なつの実家である藤井家は代々の年寄役であり、当代の主殿は筆頭の席にいるし、長女のはまは側用人の郷田靱負に嫁している。なつは三女で、母の乳がたりなかったのと、生来ひよわなたちだったので、城下の柴八という商家へ里子に出され、十二までそこで育てられた。ことばづかいや立ち居が、武家ふうとは違ってさばけているのも、町家で育ったためであろうし、気性もさっぱりとして開放的であった。こういう親族関係と彼女の人となりが、そうだこのなつなら相談にのってくれるだろう、と彼の頭にひらめいたのであった。
元の座敷へは戻らず、益村は若い家士に断わって、そのまま自宅へ帰り、独りで更けるまで酒を飲んだ。本当におりうを妻にする気なのか、と彼は自分にきいてみた。幾十たびとなくきいてみた。留守役という特殊な役目では、その妻の役割も一般とは大きい差があり、おりうならその役に耐える、ということは初めからみぬいていた。にもかかわらず、なつと話してから逆に、自分の気持が動揺するのを感じたのだ。