Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうしのむすめ

漁師の娘

徳冨 蘆花

Lesen Sie 漁師の娘 (りょうしのむすめ) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.592 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

二

より湧いて清い一と声、秋の夕の森とした空気を破って、断続の音波が忽ち高く忽ち低く蘆の一葉一葉を震わして、次第次第に霞が浦の水の上に響いて行く時は、わかさぎを漁して戻る島の荒し男も身震いして橈をとどめた。実に此の歌こそは浮島の名物であった。

ああ、しかしながら其の歌は最早聞かれない。万作が小屋は今も浮島の蘆の中に立って居る。併し最早其の歌は聞かれない。日の入るまで立ち尽しても、最早其の歌は聞かれない。

二

十四五年も前の事だ、白髪だらけの正直万作、其頃はまだ隻手で櫓柄あげおろす五十男で、漁もすれば作も少しはする。稼ぐに追付く貧乏もないが、貧乏は唯子のないのが是れ一つ。若い内は左もなけれど、五十の坂目かけては、是れほど心配はないもので、夫婦寝ざめにも此事を語り合い、朝夕筑波さまを拝んで居た。或日万作潮来へ網糸買いに往って、晩く帰って来たが、「それ土産だ」と懐から取出したのを見ると、当歳の美しい女の子だ。「どうしたんべい、此の孩児は」。「此れか、此れか、此れは……婆、筑波さまに御礼申しや」

万作夫婦、夜は二人がからだを屏風にして隙もる風にもあてぬ。乳がないので、毎日粥を作って粥汁をのませる。