Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

そうせきのじんぶつ

漱石の人物

和辻 哲郎

Lesen Sie 漱石の人物 (そうせきのじんぶつ) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.438 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

いくら私が、そうではない、漱石は良識に富んだ、穏やかな、円熟した紳士であったと説明しても、純一君は承知しなかった。子供のころ、まるで理由なしになぐられたり、どなられたりした話を、いくつでも持ち出して、反駁するばかりであった。そこにはむしろ父親に対する憎悪さえも感じられた。それで私ははっと気づいたのである。十歳にならない子供に、創作家たる父親の癇癪の起こるわけがわかるはずはない。創作家でなくとも父親は、しばしば子供に折檻を加える。子供のしつけの上で折檻は必要だと考えている人さえある。それは愛の行為であるから、子供の心に憎悪を植えつけるはずのものではない。創作家の場合には、精神的疲労のために、そういう折檻が癇癪の爆発の形で現われやすいであろう。しかしその欠点は母親が適当に補うことができる。純一君の場合は、母親がこの緩和につとめないで、むしろ父親の癇癪に対する反感を煽ったのではなかろうか。そのために、年とともに消えて行くはずの折檻の記憶が、逆に固まって、憎悪の形をとるに至ったのではなかろうか。そうだとすれば、漱石夫妻の間のいざこざが、こういう形に残ったとも言えるのである。