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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうねん

潤一郎ラビリンスI――初期短編集

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme

Aozora Bunko

「さあ今度はあべこべに貴様を糞攻めにしてやるぞ」

信一が餅菓子を手当り次第に口へ啣んでは、ぺっ/\と光子の顔へ吐き散らすと、見る/\うちにさしも美しい雪姫の器量も癩病やみか瘡っかきのように、二た目と見られない姿になって行く面白さ。私も仙吉もとう/\釣り込まれて、

「こん畜生、よくも先己達に穢い物を喰わせやがったな」

こう云って信一と一緒にぺっ/\とやり出したが、其れも手緩くなって、しまいには額と云わず、頬と云わず、至る所へ喰いちぎった餅菓子を擦りつけて、餡ころを押し潰したり、大福の皮をなすりつけたり、またゝくうちに光子の顔を萬遍なく汚してしまった。目鼻も判らぬ真っ黒なのっぺらぽうな怪物が唐人髷に結って、濃艶な振り袖姿をしている所は、さしずめ百物語か化物合戦記に出て来そうで、光子はもう抵抗する張合もなくなったと見え、何をされても大人しく死んだようになって居る。

「今度だけは命を助けてやる。此れから人間を化かしたりなんかすると殺して了うぞ」

間もなく信一が猿轡や縛しめを解いてやると、光子はふいと立ち上って、いきなり襖の外へ、廊下をばた/\と逃げて行った。

「坊ちゃん、お嬢さんは怒って云っつけに行ったんですぜ」