Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうねん
潤一郎ラビリンスI――初期短編集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme
と、私達の中へわり込んで来て、其処ら中を這い廻った。
「ほら、ちん/\。………お預け/\」
などゝ三人は勝手な藝をやらせられた揚句、
「よウし!」
と云われゝば、先を争ってお菓子のある方へ跳び込んで行く。
「あゝ好い事がある。待て、待て」
こう云って信一は座敷を出て行ったが、間もなく緋縮緬のちゃんちゃんを着た本当の狆を二匹連れて来て、我々の仲間入りをさせ、喰いかけの餡ころだの、鼻糞や唾吐のついた饅頭だのを畳へばら/\振り撒くと、犬も狆も我れ勝ちに獲物の上へ折り重なり、歯をむき出し舌を伸ばして、一つ餅菓子を喰い合ったり、どうかするとお互に鼻の頭を舐め合ったりした。
お菓子を平げて了った狆は、信一の指の先や足の裏をぺろ/\やり出す。三人も負けない気になって其の真似を始める。
「あゝ擽ぐったい、擽ぐったい」
と、信一は欄干に腰をかけて、真っ白な柔かい足の裏を迭る/″\私達の鼻先へつき出した。
「人間の足は塩辛い酸っぱい味がするものだ。綺麗な人は、足の指の爪の恰好まで綺麗に出来て居る」
こんな事を考えながら私は一生懸命五本の指の股をしゃぶった。
狆はます/\じゃれつき出して仰向きに倒れて四つ足を虚空に踊らせ、裾を咬えてはぐい/\引っ張るので、信一も面白がって足で顔を撫でゝやったり、腹を揉んでやったり、いろ/\な事をする。