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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうねん

潤一郎ラビリンスI――初期短編集

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme

Aozora Bunko

「動いて居やしないじゃないか。あれ御覧な」

こう云って光子はにや/\笑って居る。成る程そう云われて見れば、先は確かに動いて居たあの蛇が、今はじっととぐろを巻いて少しも姿勢を崩さない。

「そんなものを見て居ないで、あたしと一緒に此方へおいでよ」

暖かく柔かな光子の掌は、とても振り放す事の出来ない魔力を持って居るように軽く私の腕を捕えて、薄気味の悪い部屋の方へずる/\と引っ張って行き、忽ち二人の体は重い緞子の帷の中へめり込んだかと思う間もなく、真っ暗な部屋の中に這入って了った。

「栄ちゃん、仙吉に会わせて上げようか」

「あゝ、何処に居るのだい」

「今蝋燭をつけると判るから待っておいで。―――それよりお前に面白いものを見せて上げよう」

光子は私の手頸を放して、何処かへ消え失せて了ったが、やがて部屋の正面の暗い闇にピシピシと凄じい音を立てゝ、細い青白い光の糸が無数に飛びちがい、流星のように走ったり、波のようにのたくったり、圓を畫いたり、十文字を畫いたりし始めた。

「ね、面白いだろ。何でも書けるんだよ」

こう云う声がして、光子は又私の傍へ歩いて来た様子である。今迄見えて居た光の糸はだん/\に薄らいで暗に消えかゝって居る。