Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうねん
潤一郎ラビリンスI――初期短編集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme
金さえあれば、必ず友達を誘って散財に出かけてはお座敷を勤める。宴会とか仲間の者に呼ばれるとかすれば、どんな商用を控えて居ても、我慢がし切れず、すっかりだらしなくなって、いそ/\と出かけて行きます。
「や、どうも御苦労様。」
などゝ、お開きの時に、よく友達に揶揄われると、彼は開き直って両手をつき、
「えゝ、どうか手前へも御祝儀をおつかわし下さいまし。」
屹度こう云います。藝者が冗談にお客の声色を遣って、
「あア、よし/\、此れを持って行け。」
と紙を丸めて投げてやると、
「へい、これはどうも有難うございます。」
とピョコピョコ二三度お時儀をして、紙包を扇の上に載せ、
「へい、此れは有難うございます。どうか皆さんもうすこし投げてやっておくんなさい。もうたった二銭がところで宜しゅうございます。親子の者が助かります。兎角東京のお客様方は、弱きを扶け、強きを挫き………」
と、縁日の手品師の口調でべら/\弁じ立てます。
こんな呑気な男でも、恋をする事はあると見え、時々黒人上りの者を女房とも附かず引き擦り込む事がありますが、惚れたとなったら、彼のだらし無さは又一入で、女の歓心を買うためには一生懸命お太鼓を叩き、亭主らしい権威などは少しもありません。