Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうねん
潤一郎ラビリンスI――初期短編集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme
ある晩、梅吉がお座敷の帰りに柳橋の上で擦れちがいざま、
「三平さん、そら!」
と云って睨みつけると、
「ウム」
と云ったなり、往来のまん中へ仰け反って了いました。
彼は此れ程までにしても、人に可笑しがられたいのが病なんです。然しなか/\加減がうまいのと、あまり図々しいのとで、人は狂言にやって居るのだとは思いませんでした。
誰云うとなく、三平さんは梅ちゃんに惚れて居るのだと云う噂が立ちました。其れでなければあゝ易々と催眠術にかけられる筈はないと云うのです。全くのところ三平は梅吉のようなお転婆な、男を男とも思わぬような勝気な女が好きなのでした。始めて催眠術にかけられて、散々な目に会わされた晩から、彼はすっかり梅吉の気象に惚れ込んで了い、機があったらどうかしてと、ちょい/\ほのめかして見るのですが、先方ではまるで馬鹿にし切って、てんで相手にしてくれません。機嫌の好い時を窺って、二た言三言からかいかけると、直ぐに梅吉は腕白盛りの子供のような眼つきをして、
「そんな事を云うと、又かけて上げるよ。」
と、睨みつけます。睨まれゝば、大事な口説きは其方除けにして早速ぐにゃりと打ち倒れます。