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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうねん

潤一郎ラビリンスI――初期短編集

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスI――初期短編集 (しょうねん) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.319 Zeichen · 84 Bildschirme

Aozora Bunko

」と云うだろうか。そうなれば、意地にも汽車へ乗って、気違いになって帰ってやりたいような気もする。

「そら御覧なさい、君達があんまり無理を云うもんだから、僕は此の通り気違いになったぜ。嘘じゃない、ほんとうに気が違っちまったんだ!」

こう云って、泣きッ面をして、検査の当日に暴れ込んでやりたい。

其の時、臨場の軍医は何と云うか知らん。

「いや、よく帰って来た。よく気違いになってまで帰って来た。お前は義務に忠実な、感心な人間だ。」

と、冷やかな弁舌で褒めてくれるだろうか。

私は尚もウイスキーを呷りながら、愚にもつかない連想の糸を手繰って、其れから其れへと馬鹿々々しい考えを頭に浮べ、独りで笑ったり、怒ったり、業を煮やしたり、いまいましがったりした。

実際真面目に思案して見て、死ぬか、狂うか、当分東京へ戻らずに居るか、此の三つ以外に差しあたっての道はないようであった。死ぬのが嫌なら、狂うのが嫌なら、どうしても萬難を排して、即刻一瞬の猶豫もなく、大阪へ出発しなければならない。

けれども若し、大阪へ行かれないで、電車の中で卒倒するような事があったら………

「あゝ」

私は深い溜め息をついて、恨めしそうに電車の影を睨みながら、ベンチから立ち上った。