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Japanische Klassiker mit Furigana

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らどうせんせい

潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

そして溜息をついたかと思うと、鼻の孔を少しひろげて、生あくびをした。

そろ/\帰れと云う謎かな。―――すき腹を我慢している記者は、催促がなくとももう好い加減で退却する積りであったが、実は斯うまでぶッきらぼうな扱いを受けると、記者も人間である以上、多少は意地にならざるを得ない。まだ何かしらこだわってやることはないだろうか、もう二三十分蒟蒻問答を続けてやりたいと、そう思いながら彼はわざとぐずぐずしていた。が、先生はあくびをしてしまうと、依然として詰まらなそうに、庭の花壇の方を見ている。外の明りが顔にきら/\照り映えるので、眼を細くして、むうッと澄ました恰好は、日向ぼっこをしている猫の感じである。

「そう云えば此の頃、過激思想の取締りと云うことが、大分政治家や学者の間でやかましいように存じますが、あれに就いて先生のお考えは?」

「う、………う」

此れから先は、何を聞いても先生はたゞ呻るだけだった。過激思想から露西亜の宣伝防止問題、普通選挙、デモクラシーと哲人政治、果ては文部省の仮名遣い案、ローマ字問題まで持ち出して見たが、結局不得要領の「う、………あゝ」で受け流されてしまい、記者は御苦労にも一人相撲を取ったのであった。