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Japanische Klassiker mit Furigana

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らどうせんせい

潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

「はあ、」

「私、唯今ではA雑誌の方を罷めましてB新聞社に出ております。―――失礼でございますが、」

と云って、記者は丁寧にお辞儀をして、『B新聞演藝記者』と云う肩書のある名刺を出した。先生は片手をふところに、片手で煙草を吸いながら、記者が捧げている名刺の上へチラリと一瞥を与えたきり、その孰方の手をも動かそうとしないので、記者の方でも引っ込める訳に行かず、暫く根競べの体であったが、先生もバツが悪くなったと見え、不承々々に煙草を捨てゝ手を伸ばした。そしてその名刺を袂へ入れしなに、ほんの申し訳に眼を通したが、その時無表情な先生の顔に何かしら微かな色が動いたのを記者は見逃してしまったらしい。

「今晩は―――あのう、………どなたかお連れでも?………」

「う、………いや、………」

「はあ、おひとりで?」

「う、………うん、………」

「はあ、………では此の辺まで御運動に?………」

「う、………うん、………」

此処で又しても蒟蒻問答が始まりかけた。しかし記者は馴れているから驚きもしないで、

「けれども先生のお宅からは随分遠方でございますなあ。―――なんでございますか、お宅は矢張以前の所に?」