Japanische Klassiker mit Furigana
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らどうせんせい
潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 潤一郎ラビリンスII――マゾヒズム小説集 (らどうせんせい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.093 Zeichen · 33 Bildschirme
「うん、彼処におる。」
「はあ、左様で。―――とき/″\公園などへいらっしゃるのでございますか。」
「う、………いや、………」
「へーえ、すると今夜はわざ/\此れを御見物にいらっしゃいましたので?」
此の質問が眼目なのだが、なか/\オイソレと要領を得させる先生ではない。
「なあに、わざ/\と云う訳でも、………」
「妙なことを伺いますが、先生のような方は芝居や活動などよりも、或は斯う云う奇術のようなものがお好きなのではございますまいか。」
「………まあ、………好きと云うのでもないがね。」
此の「ないがね」の「ね」と云う音には微かながらも親しみがあって、先生としては餘程御機嫌の場合である。記者は意外に感じたのでひょいと先生の顔を見上げると、尚意外なことには、物を云う時決して相手を正視しない人だったのに、それが今日はどうした加減か、あの臆病な、処女のような眼つきでゞはあるが、遠慮がちにじーッと此方を見つめながら、口もとには愛嬌笑いさえ浮かべているのである。飛んだ所を見附かったので照れ隠しの積りなのかも知れないけれど、何しろ此れはただごとではない。薄気味が悪いくらいである。