Japanische Klassiker mit Furigana
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しおかぜ
潮風
豊島 与志雄
Lesen Sie 潮風 (しおかぜ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 25 Bildschirme
そして殊に芳枝さんには忠実だった。芳枝さんの一挙一動に注意して何かと気を配って、進んで奉仕してるようだった。
俺はその変化に眼を見張った。どうもあの晩から、俺の腑におちないことばかりだ。芳枝さんは片野さんのことに気をもんでるらしかった。手紙を書いたりした。
四日目に片野さんから電話だった。芳枝さんは長い話をしてから、にこにこして、佐代子にいった。
「今晩あたり来るんだって……。」
佐代子は顔色もかえなかった。
だが、片野さんは来なかった。高橋と美智子が十二時になって帰っていってから、客ももうないし、芳枝さんは佐代子と二人で、ぽつねんとストーヴをかこんでいた。寒い晩だった。
「冷えるわね。あたしに一本つけてくれない。」と芳枝さんはいった。
佐代子はお燗をし、見つくろいの小皿を添え、表の締りをし、それから二階にいって、丹前をもってきてくれた。
その丹前が、芳枝さんの気を引いたらしい。彼女は珍らしそうに佐代子を眺め、小座敷の上り框近くにストーヴを引寄せ、そこに腰かけて、佐代子にも杯をさした。
「一杯のんでごらん。」
佐代子は笑っていた。
芳枝さんは紙片に、いろんな数字を書いては溜息をついていた。