Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しおかぜ

潮風

豊島 与志雄

Lesen Sie 潮風 (しおかぜ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうしてこう儲からないのかしら。」

「お酒のはかり方を、ちょっとつめると、ずいぶんちがいますわよ。」

芳枝さんは頓狂な声で笑った。

「まあ! 佐代子、お前にそんな智恵があるとは思わなかった。」

そして彼女はまた珍らしそうに佐代子を眺めた。

「あたしね、これからお金をためようと思ってるの。無駄使いもおやめだ。お前さんも万事気をつけておくれね。お金が出来たら、お前さんにももっと何とかしてあげるわよ。」

佐代子はうっすらと笑った。

「ここにいて、何かつらいことはないの。」

「いいえ。」

「淋しいようなこともないの。」

佐代子は返事をしないで、考えていた。

「お前さん、郷里は越後だったわね。もうずいぶん帰らないんでしょう。」

「ええ。」

「一度帰ってみたいとは思わないの。」

「いいえ。ただ……あの波の音を聞きたいと思うことはありますけれど……。」

「え、波の音?」

「ざあー、ざあーって、いつも音がしてるんですの。」

「海岸に生れたの?」

「ええ。お父さんが漁に出て、暴風で、帰ってこなかった時、お母さんと二人で、じっと波の音をきいてた時のこと、いつまでも覚えていますの。」

「そして、どうしたの?」