Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとり
火の鳥
Lesen Sie 火の鳥 (ひのとり) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.740 Zeichen · 76 Bildschirme
あなたの愛情には、底がないからな。いや、感受性だ。それは、ちょっと驚異だ。僕は、ほとんど、どんな女にでも、いい加減な挨拶で応対して、また、それでちょうどいいのだが、あなたにだけは、それができない。あなたは、わかるからだ。油断ならない。なぜだろう。そんな例外は、ない筈なんだ。」
「いいえ。女は、」すすめられて茶呑茶碗のビイルをのんだ。「みんな利巧よ。それこそなんでも知っている。ちゃんと知っている。いい加減にあしらわれていることだって、なんだって、みんな知っている。知っていて、知らないふりして、子供みたいに、雌のけものみたいに、よそっているのよ。だって、そのほうが、とくだもの。男って、正直ね。何もかも、まる見えなのに、それでも、何かと女をだました気で居るらしいのね。犬は、爪を隠せないのね。いつだったかしら、あたしが新橋駅のプラットフォームで、秋の夜ふけだったわ、電車を待っていたら、とてもスマートな犬が、フォックステリヤというのかしら、一匹あたしの前を走っていって、あたしはそれを見送って、泣いたことがあるわ。かちかちかちかち、歩くたんびに爪の足音が聞えて、ああ犬は爪を隠せないのだ、と思ったら、犬の正直が、いじらしくて、男って、あんなものだ、と思ったら、なおのこと悲しくて、泣いちゃった。