Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとり

火の鳥

太宰 治

Lesen Sie 火の鳥 (ひのとり) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.740 Zeichen · 76 Bildschirme

Aozora Bunko

酔ったわよ。あたし、ばかね。どうして、こんなに、男を贔負するんだろ。男を、弱いと思うの。あたし、できることなら、からだを百にして千にしてたくさんの男のひとを、かばってやりたいとさえ思うわ。男は、だって、気取ってばかりいて可哀そうだもの。ほんとうの女らしさというものは、あたし、かえって、男をかばう強さに在ると思うの。あたしの父は、女はやさしくあれ、とあたしに教えていなくなっちゃったけれど、女のやさしさというものは、――」言いかけて、ものに驚いた鹿のように、ふっと首をもたげて耳をすまし、

「誰が来るわ。あたしを隠して。ちょっとでいいの。」にっと笑って、背後の押入れの襖をあけ、坐りながらするするからだを滑り込ませ、

「さあさ、あなたは、お仕事。」

「よし給え。それも女の擬態かね?」歴史的は、流石に聡明な笑顔であった。「この部屋へ来る足音じゃないよ。まあ、いいからそんな見っともない真似はよしなさい。ゆっくり話そうじゃないか。」自分でも、きちんと坐り直してそう言った。痩せて小柄な男であったが、鉄縁の眼鏡の底の大きい眼や、高い鼻は、典雅な陰影を顔に与えて、教養人らしい気品は、在った。