Japanische Klassiker mit Furigana
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ひをてんず
火を点ず
小川 未明
Lesen Sie 火を点ず (ひをてんず) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.105 Zeichen · 9 Bildschirme
」と、娘が返答した。
これらの人々は、こうして、なにか問題が起こるとたがいに口をききあうが、そうでもなければ一軒の家でも、めったに話すらせずに下を向いて指先をみつめながら仕事をしているのでした。頭の中では、多分娘はさまざまな空想にふけりながら、また母親は別のことを頭に描いて……。
ちょうどそのとき、隣家の軒下では、男は肩からてんびん棒を下ろして、四十前後の女房が汚れた小さな石油を入れるブリキのかんを手に下げて出てきました。
窓の格子には、赤いとうがらしが十ばかり一ふさにして結びつけてあります。そこには、よく日が当たるのでした。女の皮膚の色は青ざめてたるんでいた、そして、水腫性の症状があるらしくふとって、ことに下腹が飛び出ていました。
男は、こちらの石油かんのふたを取りました。青々とした、強烈な香気を発散する液体が半分ほどもかんの中になみなみとしていました。五勺のますと石油をくむ杓があって、男はその杓を青く揺れる液体の中に差し込むせつな、七つ八つの少年が、熱心にかんの中をのぞいて、その強烈な香気をかいでいるのでした。
「どいておくれ。」と、男は、ぶあいそうにいった。