Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かじ

火事

小川 未明

Lesen Sie 火事 (かじ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.986 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

どこか離れた町の中を群集に足を踏まれたり、もまれたりしているのだ。よく人生は、一寸先はわからぬというが、このことであろう……。」

昔、読んだ小説には、やはりそんな筋のものがあったことを思い出して、お父さんは、じっとしてまくらに頭をつけていられなかったのでした。たびたび、寝返りをなさったとき、

「あの子は、けがでもしなければいいですがね。」と、突然お母さんが、そばからいわれました。お母さんもやはり眠られぬとみえました。

「ばかなやつだ。いくなといったのに……。」

「女と子供ばかりだから、心配だったのでしょう。」

お父さんは、自分が子供の時分、火事見物に出かけて、消防夫や、巡査に追いたてられて、ぬかるみを右往左往した有り様を思い出しました。それでも、なるたけ危険を冒して、近くまでいって火事を見るのが好きであった。そして、新たに燃え移るたびに、火焔は、群がったやじうまたちの顔を鬼のように、紅く染めるのでありました。

「あいつ、あぶない場所に立っていて、自動車にでも、はね飛ばされなければいいが。」と、お父さんは信一が帰ってくるまでは、心配が絶えなかったのです。

弟の秀吉は、よく眠っているとみえて、二階はしんとしていました。