Japanische Klassiker mit Furigana
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やけどしたかみさま
火傷した神様
田中 貢太郎
Lesen Sie 火傷した神様 (やけどしたかみさま) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.456 Zeichen · 7 Bildschirme
一
天津神国津神、山之神海之神、木之神草之神、ありとあらゆる神がみが、人間の間に姿を見せていたころのことであった。
その時伊豆国に、土地の人から来宮様と崇められている神様があった。
伝説にもその神様がどんな風采をしていたと云うことがないから、それははっきり判らないが、ひどく酒が好きであったと云うところからおして、体が大きくてでっぷりと肥り、顔は顔で赧く、それで頬の肉がたるみ、そして、二つの眼は如何にも柔和で、すこしの濁気のない無邪気な光を湛えていたように思われる。
その来宮様は、某日例によってしたたか酒を飲んで帰って来た。その時は師走の寒い日であったが、酒で体が温まってほかほかしているので、寒さなどは覚えなかった。
「ああ佳い気もちだ、人間どもは、逢う者も逢う者も、首をすくめ、水洟をたらして、不景気な顔をしているが、ぜんたい、どうしたと云うのだ」
来宮様の眼には、路傍の枯草がみずみずした緑草に見え、黄いろになった木の葉の落ちつくした裸樹が花の咲いた木に見えていたのであろう。
「こんな、佳い日に、人間どもは、何をあくせくしているのだ」
来宮様はそうそうろうろうとして歩いた。