Japanische Klassiker mit Furigana
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かせいたんけん
火星探険
海野 十三
Lesen Sie 火星探険 (かせいたんけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.522 Zeichen · 155 Bildschirme
「これはいけない」
河合はあわてて新しい音盤を掛けた。
それはベートーベンの「月光の曲」であった。この静かな曲が響きはじめると、ざわついていた火星人は、ぴたりと鳴りをしずめた。
「ふむ、やっぱり火星人は音楽好きだな」
と、河合は呟いた。
しかし火星人たちはもう踊らなかった。そして石のようにからだを硬くして、大きな目玉をこっちへじっと向け、それから奇妙な声をあげはじめた。それは名曲に魅せられてすすり泣いているように思われた。
「おーい河合。そんな音盤はやめちまえ。ベートーベンじゃ踊りようがないじゃないか」
箱自動車の上から、山木がどなった。
「もっと踊れるにぎやかな曲をやってくれ。あれ見ろ、火星人が吠えているよ。今にこっちへとびかかってくるぜ」
ネッドが下へ抗議の声を送ってきた。
「ああ、そうだったな、君たちは踊っていたんだ。今、曲をかえるよ」
河合は、また、あわてて音盤をかけかえた。手にあたったのが「越後獅子」であった。これならにぎやかなこと、まちがいなしだ。
和洋合奏のにぎやかな曲がはじまった。
すると、そのききめは、すぐ現れた。墓石のように硬くなっていた火星人群は、たちまち陽気に動きだした。