Japanische Klassiker mit Furigana
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はいいろのきおく
灰色の記憶
久坂 葉子
Lesen Sie 灰色の記憶 (はいいろのきおく) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.588 Zeichen · 132 Bildschirme
大伯母や叔父達はみな弟をかわいがった。
「アンダウマレノミコト、って知ってる?」
これが、五歳にならない弟の作ったナゾナゾだった。
「誰方でしょう。どんな神様?」
大人達がきく。
「あんネ、ヤスダセイメイのことさ」
大人達は本心驚いた。人の話をきいたり、新聞のふりがなをそろそろよみはじめていたらしい。私には、そのからくりが、何のことだかさっぱりわからないでいた。
私は弟がもてるのをこころよく思わなかった。しかし口喧嘩をしても負ける。腕でいってもまかされる。私は余計に、ふさぎこんでしまっていたのである。
お正月。祖母一人住んでいる大きな御家に、私は従兄妹達と会ったりすることもいやであった。私は、広い庭の隅で、マネキンの絵ばかりかいて独りぽつねんとしていた。私は、自分がかなしくてたまらなかった。そして、何という不幸なかわいそうなものだろうと思っていた。いや、無理に悲劇を捏造しようとしていたのかも知れない。私は、屹度、ままっ子なんだ。私は次第にそういうひねくれた気持がかさんで行った。姉の少女小説を女中によんできかせてもらいながら、主人公が自分のような気さえして、涙一ぱいためてしまったこともあった。