Japanische Klassiker mit Furigana
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ほのおのひと――ゴッホしょうでん――
炎の人――ゴッホ小伝――
三好 十郎
Lesen Sie 炎の人――ゴッホ小伝―― (ほのおのひと――ゴッホしょうでん――) von 三好 十郎 (みよしじゅうろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.035 Zeichen · 207 Bildschirme
今は、そりゃ、マチニックやタヒチへ行けば美しい楽園が在るかもしれない。しかし、そこがいつまで楽園であり得るだろう? え?(再びゴーガンのついだアブサンをあおる。そして自分もゴーガンのコップについでやる)しょせんは人間が住んでいる所だ。今のところ原始的で、文明から毒されていないから良いが、やがて、そこも開けて来る。人間は自然に文明の方へ進む。原始の方へ後帰りすることは出来ない。すると早かれおそかれタヒチもパリも変りはないことになる。だから問題は本当は片づいたんじゃない。ただ一時、君は逃げ出すだけだ。(もう酔いが廻って、次第次第に早口に昂奮して来ている)
ゴー (この方は酒に強く、冷静さを失わない)そうだよ、たしかに逃げ出すだけだ。後のことを知らん。ほかの奴らのことは知らん。自分がもうたまらないから逃げ出すのだ。卑怯だの、独善だのと笑わば笑え、問題が片づかなくたって俺の知ったことじゃない。俺が確実に持っているのは、この自分だけだからな。しかも俺がこうして生きているのは一遍こっきりなんだからね。俺は来世を信じない。だから、今、現在、自分を大事にするんだ。